■千春のお話 |
Part170 昔の夏 |
今では私がこの宿を仕切っていますが、志鷹のお母さんの頃はずいぶん違う夏でした。 まず、景気が良かったので、平日でも 1日/80名様、なぁんて日も多かったので、何せ忙しかったです。 その中には 40名の旅行会社の団体様があったり、学生のテニスサークルがあったりと、今では考えられないような雰囲気でした。 当然宿泊料金のばらつきもあり、旅行会社の団体様については、通常の宿泊費の半分くらいのお値段で予約を受けるのが、その頃の常識で、そういう場合、お料理に前菜が無かったりお魚が無かったりする訳なんです。 同じダイニングで召し上がっていただくので、いいのかなぁ?とお母さんに聞くと、旅行会社の方のOKが出ているから大丈夫、とのこと。 しかし、サービスに出ると、お客様は納得しておられない感じ。 そりゃそうですよね。 学生さんについては、トラブルが多く、お部屋が大変汚れていたり、トイレ中ゲロなぁんてことは日常の常になってしまうくらい当たり前(笑)。 いっそのこと、これらのお客様を受けるのをやめようということで、現在に至っています。 そしてこれらのお客様を受けないで、個人のお客様のみをお受けする形にしたら、売り上げが伸びていたのも事実です。 個人手配のお客様が、志鷹のお母さんの代から続いているのは嬉しいことで、厳しいご時世ですが、旅行会社のバスツアーはやらないことにしています。 そうでないと、大事なリピーターさんをがっかりさせてしまうでしょう。 ただし、団体様を一切受けしていないのではありません。 ウェブを見て、気に入ってくださってのグループ・ご近所のスキーツアー、会社の旅行などのお客様などは多く来ていただいています。 個人の客様とフロアーを離して、どちらのお客様にも居心地の良いように配慮しています。 もちろんお値段は皆さん同じですので、お料理を 1品少なくするようなこともありませんし、お部屋が狭くなったりするようなこともありません。 大きなバスが2〜3台も停まっていて、100名くらいのお客様がどーんと降りていらっしゃる宿屋さんを見て、羨ましいと思うこともありますが、ご自身で宿を選んできて下さった 2名様を大切に、一生懸命おもてなししていこうと思っています。 |
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